国税審判官になりませんかと言われても……

「名古屋国税不服審判所長による研修会」という

名古屋税理士会の研修会に参加してきた。

名古屋国税不服審判所長を講師として招き

講義をしていただくという研修である。

まずは、国税不服審判所というところがどのようなところかの説明から始まり、

国税不服審判所での審理の流れの説明も入り、

ついでに、国税審判官の募集についても話をしていた。

国税審判官になりませんか?

国税審判官とは、

国税不服審判所長に対してされた審査請求に係る事件の調査・審理及び議決書の作成等を

する人らしい。

要は、国税不服審判所で働くということである。

(ザックリ書きました)

なんでも東京や大阪に比べると

名古屋は国税審判官の応募が少ないという。

募集概要を

国税局のサイト(http://www.kfs.go.jp/employment/tenure/career.html)

調べてみると、以下のとおりである。

勤務時間・休暇

勤務時間は、原則として1日7時間45分です。

休日は、土曜日、日曜日、祝日法による休日、年末年始の休日(12月29日から1月3日)です。このほか、年次休暇や夏季休暇等の特別休暇などがあります。

給与

任期付職員法に基づき支給されます(年収840万円程度から1,000万円程度を予定)。

※1上記の金額は、採用までに経験された業務内容や配属される勤務地、関係法令の改正等により変動する場合があります。

※2通勤手当は支給されますが、扶養手当や住居手当は支給されません。

※3退職時には、国家公務員退職手当法に基づき、退職手当が支給されます。

勤務時間も給与も悪くはないのだけど、

任用期間

採用日から2年間又は3年間

※更新の可能性があります。

契約期間がある。

要は契約社員みたいな感じである。

これでは、独立開業をしている税理士はもちろんのこと、

勤務税理士もなかなか応募に踏み切れないだろうな。

退職金が出ると言っても、2、3年の勤務ではたいした額は望めないだろう。

研修のメインテーマ

また、国税不服審判所における最近の裁決事例を2件ほど紹介された。

これが今回の研修のメインテーマである。

事例1 設備を事業の用に供しなかったことから損金不算入額となった償却費の額の翌事業年度の損金算入の可否(平成30年3月27日裁決)

事例2 取締役の分掌変更に伴って支給された金員の退職給与該当性(平成29年7月14日裁決)

2つの事例とも納税者が負けて

課税当局が勝利する裁決事例だったのだが、

2つ事例を挙げるのだからせめて1つぐらいは

納税者勝利の裁決事例があってもよかったのではないかと思ったりもしたが、

名古屋国税不服審判所長が講師を勤めていることからなのか、

ただの偶然なのかは不明だが、

分かりやすい解説で紹介されており勉強にはなった。

納税者勝利はなかなかむずかしいか

講義の最初でも話していたが、

平成29年度の審査請求における認容(納税者の主張が全部または一部認められる場合)割合が

8.2%であるため認容された事例は少ないのだろう。

このように税務署の処分に対して不満があった場合に

不服審判所に申立ててもなかなかその主張が認められることは

困難であることが数字で物語っているが、

まったく認めないわけではない。

ただ、28年度の認容割合が12.3%であったのと比べると一気に下がっている。

偶然なのか締め付けが厳しくなったのか。

個人的には意外と認容割合が高いなとも思ったりもした。

国税不服審判所といっても税務署組織の一員であるから

その判断は国税側に偏りがちであると思うのだが、

認容割合が0%になってしまうと

そもそも国税不服審判所の存在意義が問われかねないのかもしれない。

どうせ認容しないのだから、

一気に裁判(原処分取消訴訟等)をした方が早いのではないかと。

ただ、裁判となると大変なのだろうけど。